2025年4月号|線虫検査って本当に有効?

近年、テレビやインターネットを中心に「尿でがんの有無がわかる」として注目されている線虫検査。簡便で受けやすい新たな検査手段として関心を集めていますが、実際には過大評価や誤解も少なくありません。今月号では、その仕組みと現時点での活用の考え方についてご紹介します。

1. 線虫検査とは

線虫は、がん患者の尿に含まれる特有の匂い成分に反応する性質を持ちます。この性質を利用して、尿のみでがんの有無を調べるのが線虫検査です。採尿のみで済むため、身体への負担が少ないのが特徴です。

2. 現時点での活用と課題

線虫検査は、研究段階の技術を応用したもので、現行の公的ながん検診には含まれていません。がんの部位や進行度などを判断することはできず、検査結果の精度についても慎重な見極めが必要です。

3. 検査結果の受け止め方

陽性反応が出た場合でも、どの部位にがんがあるのかまでは特定できず、偽陽性・偽陰性の可能性もあります。あくまで補助的なスクリーニングとして捉え、必要に応じて医療機関での精密検査を受けることが重要です。

4. 情報に振り回されないために

「受ければ安心」「がんがわかる」という印象で過信するのは避けましょう。日頃から定期的な健康診断やがん検診を継続することが、確実な早期発見につながります。

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(掲載予定日:2025年5月)